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文藝春秋 2009年8月

大川隆法インタビュー

ウチは創価より集票力がある
文藝春秋2009

『文藝春秋』2009年8月號


――マスコミの取材を受けるのは十八年ぶりですが、なぜ今年五月という時期に幸福実現党をつくって、総選挙に臨むことになったのですか?

大川 常識的に考えれば不思議でしょうね。政党を立てるには準備から含めれば、最低でも一年はかかるのに、ほんとに四月中はまったく準備をしていませんでしたから
 すべては「幸福実現党宣言」となる四月三十日の私の説法から始まって、五月になって急速回転で一カ月で全部立ち上げました

――その直接のきっかけは?

大川 麻生政権の統治能力の欠如です。北朝鮮の金正日対策を見てもふがいない。「金正日に残された時間はもう少ない」と私は見ているので、それだけに今回の核やミサイルの動きからは、金正日の高い本気度が読み取れる

 しかし自民党はこの期に及んで、まだアメリカが手助けをしてくれると踏んでいる節がある。もともと、自民党の外交政策については支援をしていましたし、一生懸命後押しもしましたが、麻生政権は末期状態に陥って、もちませんよ

 一方で、アメリカがオバマ政権になった上に、日本まで民主党政権になったら、国防上たいへんな危機だし、それが間近に迫っている。その政権交代へのせめてもの抵抗として、何らかの意思表示や行動をしなければならない、と考えました。国民が不幸な選択をしていくのだったら、その前に声を上げるのが一つの使命かな、と

――今回の政党結成にあたっては、霊界との通信があったと、公表しているが?

大川 事実ですが、信じる信じないは、人それぞれでしょう。ただ宗教の立場で申し上げれば、霊界との通信は非常に神聖で、それによって先が見える人の意見も重要なんです

――勝算はあるのですか?

大川「一議席も取れないのに候補者を立てて、どうするつもりだ?」とか「(九〇年の衆院選に出馬し落選した)オウム真理教のようになるぞ」といったご意見も耳にしますが、客観的に組織分析をした感じでは、幸福の科学の組織力は自民党や民主党よりも上です。自民・公明の連合軍の組織力も測定済みですが、たいしたことない。

 ただね、ウチの教団には選挙というカルチャーがまだ十分にはない。そのカルチャーを短期間で作れるかについてはリスクも相当あります。あとは教団としての本気具合をどうやって見せるか、が問題ですね。

――その教団の組織力を測る指標の一つに信者数があります。いま幸福の科学の信者はどの程度ですか?

大川 ウチは会費をとっていないので今現在の信者数を確定できないんです。何をもって信者数の基準にするかは各教団の裁量に任されていて、ウチは信者だけに渡される根本経典『正心法語』の発行部数が基準です。一九八六年から現在までの累計部数が一千百万くらいでしょうか。

――これまでの選挙ではどこの政党を応援していたのか?

大川 ウチの信者には自民党支持者が多かったけれど、民主党や社民党、無所属議員の支持層にまで広がっています。過去の選挙では、与野党の候補者双方がウチの信者だったケースもあって、その場合、どちらに投票するかは信者個々人の判断でした。

 そして信者の国会議員は、自民党、民主党を合わせれば、百人近くいらっしゃいます。ところが最近は、政治家のほうが宗教の票だけを利用しようとしますからね。

――今回の選挙では、信者が他の政党から立候補した場合はどう対処するのか?

大川 ウチは寛容な教団ですから、これまで同様、自民党や民主党から立って当選しても信者として残れるとみんな知っているんでしょうね。しかし、信者としての心の教えの方はついてきていても、政治のほうは政党の考えがある。

 幸福実現党の求心力をもう一段高め、本気度を有権者の信者に伝えるためにも、今回の選挙で幸福実現党は情け容赦なく三百小選挙区すべてに候補者を立てたのです。

――情け容赦なくとは、これまで支援してきた自民党に対してですか?

大川 いや、自民・民主の両方に対してです。選挙区によっては自民党、民主党、幸福実現党の三人の信者の候補者が争うところも出てくる。これまでは、そこの信者はどちらかの候補を応援していたはずなので、今回は双方にとって厳しい選挙になりますよ。

――全選挙区での候補者擁立は無謀では?

大川 われわれは、いざという時には政権の受け皿になる覚悟があるから、全部で三百五十人近い候補者を立てたんです。(選挙区を絞り込んで)二十とか三十という小規模の選挙になれば、相当な率で当選する可能性はありますが、それではただ政界に進出するだけで、意味がありません。

自民も民主もダメだ、と国民が判断したときのために受け皿となるべく、急ごしらえで政党を作ったのです。

 同時に、ウチの政治的な意見をストレートに表現するのには、やはり政党があったほうがいい。

――しかし、政界やマスコミでは「議席はゼロではないか」と予測しています。総裁自身の目標議席はいくつ?

大川 ハハハ。それが聞きたいんでしょうね(笑)。我々は「勝敗ラインが下がって、ラクな戦いになった」なんて喜んでますがね。

今の民主優勢の状況が投票日まで続いて、鳩山民主党が大勝利するとも私は思っていません。民主党にもアキレス腱がきっと出てくる。

そうなった時に、自民も民主もダメだとなって、天の利が注いで「お待ちしておりました」「まさかの時の幸福実現党」という躍進があるでしょう。

 ただ、総選挙で終わりではなく、自民党や民主党で当選した議員から幸福実現党に移る人が必ず出てきます。

――つまり選挙後の政界再編も視野に入れている、と。

大川 そう。一定の議席が確保できれば発言力も増してくるので、再編の形に関してもイニシアティブがとれるかどうか。数でいえば、派閥一つ分が最低ラインかな。

――ということは、二十~三十議席が目標ですか。かなり強気ですね。

大川 派閥一つって、そんなに少ないですか?そんな数じゃ、泡派閥ですよ(笑)。最悪の場合でも自民党の大きめの派閥くらい。

――最大派閥は清和会の衆参併せて約九十人ですから相当数。公明党をも上回るのですか。

大川 負けるとは思いません。向こうは小選挙区には八選挙区しか立てないんだから、そもそも第一党になる気さえないでしょう。

――十八年前のインタビュー(本誌九一年八月号)では、大川総裁自身、「失礼かもしれないけど」と断った上で、公明党結党が創価学会の失敗だった、と断罪していますね。

大川 はい、言いました。

――それを宗教団体の政治進出に対する批判だと受けとめました。しかし、今回の政党結党はそれと同じ轍を踏もうとしているように見える。幸福の科学は変質したのですか。

大川 それは考え方の違いもあるでしょう。向こう様は、我々に対して「次元が違うよ」と言っているようですが、それはウチも一緒。「その通り、次元が違うよ」とお答えします(笑)。

国内の様々な宗教団体にお聞きになれば分かるでしょうが、戦後の宗教のイメージを悪くした団体は一体どこか?挙がるのは、ただ一つですよ。やはり創価学会・公明党のイメージの悪さが、宗教全体のイメージの悪化とイコールになって何十年と広がったことに、宗教界全体は迷惑しました。

 その公明党は唯一の宗教政党としてすでに国政にいるにはいますが、これは宗教界の意見を必ずしも代弁していません。むしろ公明党とはまったく違う考えで動く宗教政党があることを知っていただく方が、日本国民の啓蒙にもいいんじゃないですか。

――しかし反面、創価学会は公明党を持つことで、政治に対して自分たちの考え方を反映させ、力を行使できる、ということを示した宗教団体ともいえます。それだけに、公明党をモデルにして幸福実現党を立ち上げたと受け止める人も多いと思います。

大川 いやいや、あれでは困ります。

――具体的には、創価学会・公明党とどこが違うのですか?

大川 二つありますが、なにより「教え」と「信者の行動パターン」を見れば全然達います。創価学会の教えの基には「真善美」がありますが、途中から「真」を「利」に置き換えた。「利」が一番、つまり欲望を肯定したわけで、これは仏教の教えと正反対です。突きつめれば、基本的に現世利益だけの宗教なんです。

 もう一点、創価学会は激しい他宗排撃をしましたが、その点、ウチは他宗に寛容で、他宗教に属する牧師や住職も信者にいます。天台宗だと千日回峰を達成した人も信者にいるし、浄土真宗系の教祖様もウチで活動しています。相当懐が深いんです。

――近年の宗教政党では、オウム真理数の歌を歌いながらの選挙運動の記憶が今なお鮮明です。

大川 怖かったね、あれは。当時、新幹線に乗ってたら隣の席で歌われて、逃げ出した思い出があるよ(笑)

――そのオウムの変質は、あの時の選挙の失敗がきっかけだった、といわれています。

大川 いやいや、オウムは宗教政党とは違いますよ。あれは、選挙前にすでに殺人事件を起こしていたから、国会議員になれば不逮捕特権があるので逃れられると思って立候補したのでしょう。

 それに、オウムとは教団規模からして全然違います。オウムは信者数が一万人でしたが、ウチは活動拠点が支部や末端の布教所まで合わせれば国内で一万カ所もあるんです。これだけの大規模な活動拠点をもつ攻撃力の前には、他の政党だって震え上がります。

 はっきりいえば、自民党と民主党を、丸ごとM&Aするくらいの覚悟で、政党を作りました。今年すぐは無理でしょうが、数年かければ両党とも抜け殼のようになっていきますよ。

――M&Aと仰いましたが、仮に自民党も民主党も買い取るとなると、相当なお金が必要です。
大川 M&Aというのはあくまでも譬(たと)えた話であって、実際にはわれわれの政策に共鳴してくれる政治家や政党があれば、吸収合併していくということです。

 ただお金の話は訊きたいでしょう。マスコミ的には書きたいはずですよ(笑)。興味本位で書かれるのも困るのですが、初動期である今はともかく、将来的には政治資金面でも自民党や民主党に見劣りはしないでしょうし、吸収できる余地は充分ある。⇒
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文藝春秋 2009年8月 続



――幸福実現党の政治資金は、幸福の科学で全額負担するのですか?

大川  いえ、いまは教団が立て替えて政党に貸し出していますが、それは最初だけ。政党組織も徐々にできてきて、政党会員からの資金集めも始まっています。候補者の後援会組織もできてくれば、こんご政治資金がどのくらい集まるかも、これまでの宗教の実力から推測できます。決して少ない額ではありません。

――夫人の大川きょう子党首が政教分離について「宗教施設を政治的に使ったり、宗教法人の役職に就いたまま立候補することも、法的には問題はない」と発言されたが、これについてはどう考えますか?

大川 今の段階は、ある程度仕方がないでしょう。今後は政党として自前の組織や施設、資金を調えていきますので。何らかの母体がなければ政党はできませんから、一、二年は緩めに見ていただきたいですね。

――三百小選挙区全てに候補者を立てるには莫大な供託金が必要です。一人三百万円で三百選挙区だと合計九億円にも及びますが?

大川 小さい、小さい。そんなゴミみたいな(笑)。その質問は、トヨタ自動車に「株価が何円下がったら潰れますか」と質問するのと一緒ですよ。トヨタだって、単年度では赤字決算が出たとしても、会社本体はビクともしないでしょ。

ウチも仮に九億円没収されたとしても、それで潰れるような教団ではありません。財務体質からみても、「宗教界のトヨタ」ですから、ウチは(笑)。

――政党党首にきょう子夫人を選んだ理由は?

大川 やはり能力と知名度です。立党後に党首交代したので家内は二代目党首といわれていますが、ほんとうは三人目の党首なんです。当初は教団内で実力のある別の人間を立てていましたが、選挙を考えるとポスターが大事でね。で、周囲の意見を聞いたら、一般の人にも人気がでるような選挙ポスターの顔に誰がふさわしいかという議論の末に、饗庭(直道)君を二番目の党首にしたんです。

ただ並んだ政党幹部の顔ぶれを見渡すと、彼が教団内の役職で最も格下だった。他は元理事長とか元専務理事と、かつての上司ばかりで「浮動票狙いの外向けの顔にはいいけれども、内部的にはきついだろう」と。彼の教団内の知名度も一割にも満たないくらい低かった。

 その点、家内は教団内の知名度も一〇〇%だし、記者会見の対応や質疑応答の能力も高かった。ならば大川きょう子を党首にして戦うのが良かろう、と3番目の党首になった。このとき四番目の候補は実は私でした。さすがに弟子たちに「勘弁してください」と引き止められましたがね(笑)。

目標議席を獲得するのだって、党首の勇気次第です。饗庭君から家内に交代しただけで、当選者はたぶん3倍以上になりますよ。

――本気ですか?

大川 もちろんです。他教団の中には「選挙に出るのは、どうせ宣伝でしょ」と言う人もいますが、家内まで引っ張り出して、それも党首にしたのは、教団が赤っ恥をかく覚悟があることの証です。本気度の現れですよ。

――その夫人の能力は、政治家として活かされますか?

大川 少なくとも麻生太郎や鳩山由紀夫より、ウチの家内は優秀です。手腕を実際に見てください。いざ戦えば、麻生太郎や鳩山由紀夫の首は落ちますよ。

 考え方はアングロサクソン的ですね(笑)。日本の女性には珍しいくらいに、物事の白黒をはっきりつけるし、指揮命令も明確。大軍を動かす将に向いています。サッチャーやヒラリーなど、女性の政治家もいるけれど、家内はヒラリーみたいに軟弱じゃない。とても怖い存在ですよ。

 家内は、私とも考え方が違います。家内がアングロサクソン的だとすれば、私は和洋折衷型。同じことを聞かれても、私と家内から同じ答えが返ることはまずありません。その意味では、考え方や判断のレベルでも、政教分離は最初から成立しています。

 そうなると、まぁ私は松下幸之助みたいなものです。幸之助の思想を基にPHP運動(Peace and Happiness through Prosperity=繁栄による平和と幸福)が起きましたが、死後までその運動は残りましたね。ウチの政党も、私が関わらなくても、あとは組織自身の意志で動いていきますよ。

――政策面では、与謝野大臣を「貧乏神」と批判して経済成長を謳ったり、北朝鮮をめぐる安全保障、それに公教育の改革がメインですか?

大川 そうですね。政策の基本は穏やかな保守本流ですが、ラディカルなことも辞しません。

 安心できる公教育の実現という政策も、きっかけは私の三男のいじめ問題です。「週刊文春」なども書いたからご存じでしょう?

問題を解決する能力のない何十万もの教職員と闘うには、大ナタを振るわねばならないし「利害関係のない宗教でなければできない」とも言われた。

それで、三男には「名前を出したら学校へ行けなくなるかもしれないが、いいか? 嘘だと思われるといけないので実名でやるぞ」と私が言って、いじめ問題にも教団を挙げて取り組んだんです。

――「新・日本国憲法試案」では「天皇制その他の文化的伝統は尊重する」とする一方、直接選挙で選ばれる大統領を国家元首と定めました。

大川 日本の指導者のふがいなさの原点は議院内閣制にあると考えています。つまり首相は間接選挙でしか選べない。その点、直接選挙で選ばれた大統領ならば、指導力を縦横に発揮できます。今も憲法下では、日本の元首は天皇か首相かどちらとも解釈できますが、日本が民主主義を貫くのなら元首は大統領だと明確にした方がいい。

 天皇制自体については、二千六百年の歴史の中でも政治的存在の時代と文化的存在の時代の両方がありましたね。明治維新以後の近代の明治憲法下では天皇は政治的存在になったと思いますし、その意味では昭和天皇は開戦責任や敗戦責任のリスクに晒されました。

これからの将来においても、日本は北朝鮮と中国、この二つと戦争する可能性が高いと見ているので、やはり天皇は温存して、国民から直接選ばれた大統領が矢面に立つべきだと思っています。

――幸福の科学がもっとも注目されたのは、九十年代初頭から前半です。九一年には講談社への激しい抗議活動を行ったいわゆる「フライデー事件」があり、九五年には「三塚博総理大臣待望論」や「創価学会亡国論」を出版するなど、マスコミの寵児の一面もありました。
 しかし、この九五年から二〇〇五年頃までは静かだった印象を受けるのですが、その理由は?

大川 それは鋭い指摘ですね(笑)。宗教の発展とマスコミの評価は正反対。マスコミに登場する時期に宗教は発展せず、逆に出ない時期にこそ、停滞か消滅したかと思われがちですが、実は発展するんです。会社だって、経営者があんまりマスコミに出すぎたら潰れるとよく言われるでしょ。

ドラッカーもたしか経営者が宣伝をやりすぎるところはダメだ、と書いてます。マスコミに出ても、活動エネルギーが削がれる上に収入にもならないし、目立てば敵も増える。疲労困憊するだけでしたね。

 その点、ウチの教団でいえば、信仰の伝道や資金集めの「植福」、それに活動拠点作りなども、静かにしていた九五年からの十年間は、全てが上手く進んだ発展期。活動拠点も、それまでは高い家賃を払ってレンタルしていましたが、大型研修施設や支部など全国で二百数十カ所の拠点を、一円の借金もなく全部自前の資金で建てることができました。

 今回の政党設立でまたマスコミに出ると、いっぱい叩かれるだろうから、発展も止まるかな(笑)。来年以降はちょっと苦しくなるかもしれないけれど、国難の時期だからしょうがない、意見はやっぱり言わねばならないと、諦めてますよ。

[p321-327]



◆情報元
http://spiruna.blog89.fc2.com/blog-entry-481.html
 


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